本の謝辞+表紙イラスト解説
4. その他2021年11月25日
「食べる経済学」では、ページの制約上「あとがき」を含められず、謝辞も書けなかったので、HP上で関係者の方々に謝辞を述べたいと思います。
まず、私を大和書房60周年企画に誘ってくれて、私の好きなように本を書かせてくれた、編集者の中山淳也さんには大変お世話になりました。企画当初は10万字くらいの軽い本になる予定だったのに、私が書きたいことを盛り込んでいくうちに14万字を超えるような分量になってしまったのですが、それでも何とかしてくれました。また、帯のフレーズや、目次の各部の見出しは中山さんのアイデアです。まったく経済学っぽくない見出しで新鮮でした。特に「飢える人と捨てる人」はお気に入りです。「食べ物は踊る」も意味不明なところが気に入っています。さらに、タイトルの箔押しや蛍光インクの使用といった、こだわりの表紙カバーの実現のためにも尽力してくれました。
次に、本書全体のデザインは佐藤亜沙美さんが担当してくれました。1ページ目のインパクトのある牛のページや、2-3ページ目のイラスト付きの紹介ページなど、私では思いもつかない構成を提案してくれました。また、目次や各部の扉ページのデザインも、かなり格好良くて気に入っています。高校生や学部生をターゲットとした本なのですが、教科書っぽくはしたくなかったので、絶妙なバランスだと思います。
そして、校正はツタヤノブコさんが担当してくれました。文章の校正だけでなく、内容の整合性などまでかなり細かく丁寧にチェックしてもらい、校正でここまでやってくれるのかと驚きました。校正のおかげで、本書の日本語は私の実力の3割増しくらいになっています。
最後に、表紙のイラストは芦野公平さんが描いてくれました。私からは「人の食生活の選択次第で、地球の未来が変わるイメージ。そして、より良い選択肢に気づいてもらうために政策などで働きかけているイメージ。ピタゴラスイッチみたいに、食生活と地球の未来がつながっているとベター。」といった無茶な要望を伝えただけで、今回のようなイラストが仕上がってきて、もう、すごいの一言でした。とても気に入っているので、以下にイラストのポイント11点について解説しています。
*** イラスト解説 ***
① 眼鏡のレンズが外れることで、認知バイアスなどがなくなり、「食べる」の見え方が変わる。② 積んだ肉の山のステーキを箸で持ち上げてしまうと2100年の地球が焚火に落ちてしまい、右手にある野菜を選択すれば輝く未来が待っている、という構図。③ 市場の発展によって消費者からは見えなくなった生産者が肉をミンチにしている。④ 利益優先で作られるハンバーガーと伐採される木々、硬貨の柱は上に伸びていくが、木は切り株になる。⑤ 食生活の影響で、今にも焚火に落ちそうな2100年の地球。⑥ 2100年の地球を持ち上げている人は野菜の羽の力でなんとか持ち堪えている。⑦ 私が食品ラベルを確認しよう!と叫んでいる。(まさか、表紙に自分のイラストが入るとは!)⑧ 北極の氷が溶けて水没しそうな日本と困った顔の肥満男性。蓋からも漏れそうな海水。⑨ 気候変動による異常気象を象徴する竜巻と雷。⑩ 溶ける北極の氷山と並んで浮かぶステーキ肉。⑪ 牛がメタンのおならをしている(色黒模様に「GHG」の文字)。
皆様のご協力のおかげで、とても良い本を作ることができました。ここに記して、皆様への謝意を表したいと思います。