下川研究室

下川研究室

食を通して社会を読み解く

私たちの身近な「食」は世界中の様々な社会問題とつながっています。そのつながりや問題について経済学の視点から明らかにし解決策を探っていく研究室です。

研究メモ・お知らせ

こんな研究をしています

  • 01

    日本の小麦価格とアフリカの暴動がつながっている?

    食料市場を通して世界中がつながっているという話。

    日本は小麦の80%以上を輸入に頼っており、アフリカの貧しい国々の多くも小麦の大部分を輸入に頼っている。そのため、日本とこれら国々の小麦価格は国際市場を通してつながっている。そして、日本では些細な値上がりであっても、貧しい国々では生活への影響が大きく暴動を起こすほどに人々の不満が高まることがある。小麦価格の上昇は、異常気象などによる農作物の不作のせいだけでなく、バイオ燃料の需要拡大によるトウモロコシ価格の高騰のせいでもある。つまり、農業生産だけの問題ではなく、社会経済の問題でもある。

  • 02

    中国の豚肉ブームでブラジルの熱帯雨林が破壊される?

    普段の食生活が政策次第で地球の裏側の環境破壊にまで結びつくという話。

    中国では豚肉の需要が急増しており、国内の豚肉生産量を増やすために、豚の飼料である大豆の輸入を急激に増やしている。主な大豆の輸入先は、もともとは米国(40%)とブラジル(40%)だった。しかし米中関係の悪化により米国からの輸入を減らしブラジルからの輸入を増やしたため、2018年にはブラジルの割合が80%を超えた。これにより、ブラジルでは中国に輸出するための大豆生産が急増し、それに伴う農地拡大が近年の熱帯雨林破壊の要因の一つになっている。

  • 03

    食育+牛肉税で地球温暖化対策?

    食育+ちょっとした動機付けでグローバルな問題の対策にもなるという話。

    世界の温室効果ガス排出量の4分の1は食料生産によるものである。特に、1kgの牛肉を生産する時の温室効果ガス排出量は、1㎏の鶏肉を生産する時の4倍、1㎏の大豆を生産する時の60倍にもなる。そのため欧州では、肉の消費量を減らすための食育に加えて、牛肉税の導入を検討している国もある。食育だけでは効果が小さく、牛肉税だけでは牛肉の代わりに野菜などの消費量を減らす可能性があるため、二つを組み合わせることが重要になる。また、温室効果ガス削減に加えて健康改善もできたら一石二鳥である。